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2007年8月11日 (土曜日)

パールジャム物申す

「ブッシュ反対と歌って何が悪い?アメリカは表現の自由を尊ぶ国ではなかったのか?」

8月5日にシカゴで開催された野外ロックフェスティバルに出演したロックバンド「パール・ジャム」をめぐり、再びアメリカで表現の自由をめぐる論議が巻き起こっている。

事の成り行きはこうだ。

同フェスティバルで、「ジョージ・ブッシュよ、他の居場所を探してくれ。俺たちの住む世界を放っておいてくれ」と歌った演奏部分が、同フェスティバルの公式サイト(AT&T運営)から削除され、それに気づいたファンが「ブッシュ大統領を批判したパートだけが削除されている!」と抗議。パールジャム側が正式にAT&Tに説明を求めたところ、「請負会社によるミス。2度と起こらないように善処する」との何とも釈然としない説明だけで、なぜこの部分だけが削除されたか?に関する説明は一切なし。紋きり型の逃げの説明に怒ったパールジャムは、ウェブサイトで「理解に苦しむ説明で、削除は検閲の結果によるものとしか思えない。こうした言論統制は、音楽を通して自分たちの意志を表現するアーティストとしてはもちろん、米市民としても受け入れがたいもの」と激しく抗議。そこで、こうした動きに気づいた米大手メディアがバーンと事の成り行きを報道した。

で、現在、ディキシーチックス以来の論議が再び展開されている、といったわけ。もちろん発言主が超大物クラスのバンドなので、注目度もものすごく高いんだけど、2003年のディキシーチックスを取り巻いていた当時の米社会と今現在の立ち位置というものはまるで違うものなのだ。

ディキシーチックスといえば2003年、アメリカのイラク攻撃に関し、「ブッシュ大統領が自分たちと同じテキサス州出身であることを恥ずかしく思う」と発言して世界中から総攻撃を受けたカントリーバンド。発言直後、すぐさま保守派ラジオ局が彼女たちの曲の放送を禁止し、不買運動が起こり、メディアは痛烈な批判記事を書きたてる、といった具合で、テロとの戦いをまっしぐらに突き進むアメリカで自由にものがいえないアメリカ社会を象徴する出来事だったわけなんだけど、その彼女たちが激しい嵐をくぐり抜けて発売したアルバムは今年2月のグラミー賞で5部門を制覇した。

そのことからもわかるように、時勢に押された報道が及ぼす影響力というものをまずはメディアが反省し、また、イラク戦で増え続ける米兵の死者のニュースに心を痛める米市民がイラク戦についての考えを改め始めた結果が彼女たちのグラミー5部門制覇につながった。。。というのがこれまでの大雑把な流れだった。

そんななかで、戦争反対を訴えるアーティストはたくさんいて、パールジャムもその一つだったんだけど、彼らがマスコミの標的となったことはこれまで全然なかった。アメリカでは、バリバリのパンキッシュなファッションに身を包んだファンの子たちが「戦争反対!ブッシュ反対!」というパールジャムのステッカーを車に貼り、彼らの曲を大音量でガンガンに流しながらフリーウエーを走る姿をみかけるのはそう珍しくない。

高校時代の仲間がイラクで戦死したり、「戦争」というものを実生活レベルで体験し始めているアメリカの若者たち。だから危機意識を真っ先に感じるのも若者たちなわけで、若者と政治との距離というものは、アメリカではますます狭まっている。

でもって、こうした若者主導型「YouTube」を大手メディアが追いかけるといった現象も起こって久しいのだけど、今回のパールジャム騒ぎも例にもれず、ファン主導で流されている「検閲なしバージョン」がものすごいヒット数を得ている。しっかりとAT&Tへの批判コメントつきでね。痛いな~、今回の読み違いはーというAT&Tの悲鳴が聞こえてきそうだ。

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